「執愛輪廻 〜椿鬼ノ章〜」
目次
シナリオ
トラック1より
はい今行きます
どちら様で
どうして
君がここに
ああ
れ
まだ話してなかったっけ
僕はね
この椿家で生まれたんだ
でもいろいろあって
叔父に引き取られてからは
ずっと泉の精を名乗ってるけどね
とにかく
中に入って
悪いことは言わない
君は今すぐ東京に帰るべきだ
君はここにいちゃいけない
この家に来るまで
誰かに会ったり
すれ違ったりした
あたりには誰もいないのに
人の視線を感じたりしなかった
ああ
その
ごめん
急に両肩を掴まれて痛かったよね
あ
電車の中で
この村で
行商をしているおばあさんと
少し話したくらい
なら
もう村中に
君が東京からうちへ来たことが
知れ渡ってるだろうな
田舎にはね
そういう独自の情報網があるんだよ
しかも情報が回るのがすごく早い
当事者が呆れるくらいね
それだけここが
閉鎖的な村だっていう証明さ
トラック2より
ああ
甘い花の匂いがする
俺や料理と同じ
椿の花の香りがまとっているな
あって
イオリが東京で付き合っている娘
の体に
会員はないと聞いていたんだ
まあいい
別れさせる手間が省けた
姿は上手に隠せているが
匂いにまで
気が回らなかったようだな
そこにいるのだろう
さあ
いつまでも
部屋の隅に隠れていないで
こちらへおいで
その干ばせを
よく見せておくれ
不思議だな
お前を
正面から抱きしめている感触は
確かにあるのに
座敷楼の中はもぬけのから
おまけに声も聞こえないと来た
これではつまらぬ
さて
どこにこの技術の種を隠している
はあ
持つ者の気配と姿
を隠す術が施された札か
お前の姿が見えなかったのは
この札のせいか
まったく
小賢しい真似を
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