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ぼいすらぶず

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暗闇の中の光

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目次

シナリオ

チャプター1

ただいま

遅くなってごめん

母さんはもう帰った

ああそっか

食事も済ませたんだね

ごめんね

今夜は取引相手との食事会で

断りきれなかったんだ

ああいいよいいよ

食器は俺が片付けるから

無理しないで座ってて

うん

そんな

申し訳なさそうにしないで

仕方ないよ

事故で目が見えなくなって

まだ日が浅い

日常生活が遅れるようになるまで

もう少し時間はかかるさ

そもそも

一命を取り留めただけでも

奇跡に近いんだ

焦らずに行こう

もう

そんな顔しなくていいってば

俺は

巻き込まれたなんて思ってないよ

あの事故は

相手の車

が飛び出してきたことが原因

なんだ

君は何も悪くない

それに

君は助かった

角膜移植をすれば

視力も回復する

オレも

ここにいるから

だから気にしなくてもいい

今は目を治すことだけを考えて

手術は順番待ちで

時間がかかるみたいだし

焦っても仕方ない

うちの家族や

君のご両親も協力してくれる

俺もいつだって君のそばにいる

君が光を取り戻すまで

俺が目の代わりになる

君が暗闇の中でも迷わないように

だから

甘えていいんだよ

チャプター2

初めて見る映画だけど

面白かったね

音声ガイド付きって初めてだけど

結構イメージできたよ

聞いているうちに

だんだんと頭の中に

風景が浮かぶようになった

うん

俺も目をつむっていたんだ

君と同じ感覚で楽しめたかったから

また今度

違う映画も視聴してみようね

次は何がいいかな

sf やアクションより

日常系の方が

イメージがしやすいかも

今はまだ

部屋で過ごすことしかできないけど

歩くのに慣れたら

散歩でもしてみようか

やっぱり

少しは太陽

を浴びた方がいいと思うんだ

大丈夫

俺がずっとそばにいるから

俺がいる限り

君に怖い思いはさせないよ

だから安心して

ごめん

急に顔近づけられたから驚いて

ち違うよ

避けたわけじゃないって

俺が君とのキスを

嫌がるわけないじゃないか

本当だって

そんな顔しないで

目が見えなくなったくらいで

君のことを嫌いになるもんか

急だったから

びっくりしただけだよ

実は

今でも思い出すんだ

全身に包帯を巻かれて

意識の戻らない君の姿を

あの時の君は

触れたら壊れてしまいそうなほど

繊細に見えた

だから少しだけ

君に触れるのが

怖いと感じる時があるんだ

君を嫌いになったわけじゃない

それだけは違うよ

でも

紛らわしいことをしちゃったよね

本当にごめん

今度はちゃんと

キスしてもいい

チャプター3

そろそろ公園を一周しそうだね

結構歩いたし

疲れたでしょ

少し休もうか

あっちにちょうどいい木陰があるよ

あそこで休もうか

そのまま右に曲がって

ああ段差があるから気をつけて

大丈夫手は繋いでるから

そう

ゆっくりで大丈夫だよ

はいそこで止まって

はい回れ右して

そして腰を下ろすと

うんゆっくりゆっくり

はいもう大丈夫だよ

後ろに木があるから気をつけてね

それじゃ

俺も隣に座らせてもらおうかな

いや

晴れてよかったね

少し暑いくらいだけど

でも散歩するにはちょうどいいかな

多少は汗をかいた方が

運動してるって感じがするよね

久しぶりに外を歩いた気分はどう

太陽の下を歩くのも久しぶりでしょ

最近は外出といっても

車で家と病院

を往復するくらいだったから

少しでも

リフレッシュしてくれたら

いいんだけど

俺俺は君と歩けたから

それだけで楽しいよ

本当だって

大変だなんて思ってない

これは俺がすべきこと

そしてやりたいことなんだから

気にしないで

もっと

いろいろと頼ってくれていいんだよ

久しぶりに外へ出たんだし

何かしたいことはある

喉は渇いてない

冷たい飲み物でも買ってこようか

うん

特にない

うん

ああ

そうだ

汗を拭いてあげる

汗が冷えると風邪ひいちゃうからね

ちょっとこっち向いて

どうしたの

もじもじして

うん

ああ

そういうことか

大丈夫

こっちを向いて

うん

全然気にならないよ

汗の匂い

それを気にしてたんでしょ

でもさ

汗の匂いなんて

今更じゃないか

ごめんごめん

叩かないで

デリカシーがなかったね

ごめん

でも

俺は好きだよ

君の香り

汗も含めて

君の香りすべてが

君の香りを感じると

落ち着くんだ

そして

ドキドキしてくる

今だってそうだ

君も同じなんじゃない

顔が赤いよ

君も俺の匂いで

ドキドキしてるんでしょ

チャプター4

よし洗い物終わり

そっちの片付けも終わったかな

うん大丈夫

ちゃんとできてるよ

お手伝いありがとう

あの事故から一年以上

いろいろなことが

できるようになったね

さて

これで今日の家事も全部終わり

お風呂も入ったし

あとは寝るだけかな

ああ

電話だ

ちょっとごめんね

あれあれ

君のお母さんからだ

はい

もしもし

はい

はい

本当ですか

はい

わかりました

本人にも伝えます

はい

ありがとうございます

はい

おめでとう

角膜の手配ができたんだって

うん

君のおうちに

病院から連絡があったらしい

君さえよければ

すぐにでも手術できるみたいだよ

ついに

手術が

よかった

突然視力を奪われて一年

今までよく頑張ったね

俺は

自分でやりたいことをしただけだよ

頑張ったのは君だ

これで

俺はもう

チャプター5

おかえり

手術は無事に成功したみたいだね

ごめんね

迎えに行けなくて

どうしても

決心がつかなかったんだ

俺俺は君の恋人

樋口ヤマト

双子の弟

湊だよ

大和から聞いたことあるんじゃない

自分によく似た

一卵性ソーセージの弟

がいるって

見た目だけじゃなくて

声もそっくりだって言われる

でも

君には気づかれると思った

一年以上経っても

君が

兄のことを忘れるわけないもんね

ただ

さすがに

声だけだと

わからなかったみたいだけど

何を言っているかわからない

そうだよね

落ち着いて聞いてほしい

兄は

大和は死んだ

あの事故の時に

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